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ちょっとマイノリティ
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いつも気付けば少数派・・・  by宮上修二

by minority-m
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北川の川底にはお宝が眠っている
先日、コレクターで隣り合わせた年上の男性と、子供の頃の遊びの話になった。
ビー玉、独楽、そしてカッパン(角型で厚手のメンコ)。
その男性の世代ではベーゴマなどもやったらしいが、僕らの世代ではほとんど見かけなかった。

僕が特に熱中したのはカッパンだった。
みんなロウや油を塗って重くしたり工夫を凝らしていた。中には2枚張り合わせたりと、とんでもないことをする奴なんかもいた。
相手が下級生だと「なんど文句あるんか?貼ったらあかんというルール誰が決めたんど!」などとすでにりっぱなヤクザのような口をきいていた。
しかし、そんな姑息な奴は案外弱く、なんの強化も細工もしていないカッパンで勝つのは爽快だった。運動神経は良くなく、他の遊びではほとんど友達の後塵を拝していたが、カッパンだけは結構強かった。

当時市内に「ドブのトオチャン」という信じられないような名前の駄菓子屋さんがあった。
ここは我がM小学校と、市で一番大きいO小学校のなわばりの境界近くにあった。O小学校の連中と出会うとインネンつけたりつけらりたりと喧嘩になりかねず、行くときはいつも緊張していた。

しかしその店だけに強いと評判のカッパンが売っていて、デザインはもーれつア太郎のニャロメであった。いつ行っても売っているワケではなく、このニャロメカッパンは半ば伝説化されていた。
何度通っても置いてなく、他のカッパンや駄菓子を買って帰った。
今思えば「ドブのトオチャン」の戦略にはまっていたのではないかとさえ思う。
結局この店でニャロメに出会うことはなかったと思うが、そのうち実力で手に入れた。紙質や厚みがなかなか優れたカッパンであった。

そのうちカッパンのつわもの達数人がお寺の境内で一同に会したことがあった。
ニャロメを駆使したかどうかまでは覚えていないが、なぜか大勝してしまった。もっていったお菓子用のカンカンのふたがしまらないくらい大もうけした。
数日後、そのカンカンを祖父に見つけられてしまった。ほとんど怒ることのない寡黙な祖父だったがその時はカンカンに怒った。「子供の分際でバクチなんどして!」と。
酒もタバコもギャンブルもしない祖父からしたらヤクザな孫に見えたのだろう。家の裏の川原に全部捨てられてしまった。ああ、ニャロメ!
そこで僕の華麗なカッパン人生は終わってしまった。

それからしばらくして、今度は化石集めに熱中した。インテリで読書家のS君と町はずれの石油タンク裏のがけに通った。
ほとんどが二枚貝か巻貝の化石だったが、数個の破片をつなげると瓜くらいの大きさになる卵型の化石(?)を見つけたことがある。その時は恐竜のタマゴではないかと胸が躍った。
これら化石もお菓子のカンカンに入れて保管していた。そのうちイトコにあげたりして少なくなっていったが、あるとき親父に全然勉強しないことを怒られ、残り全部これまた裏の川原に捨てられてしまった。
まあ今なら「河原にゴミを不法投棄した!」と祖父や親父らの方が怒られそうな話なのだが、あの頃はあまり頓着しない時代だったのだろう。

カッパンはさすがに影も形も残っていないだろうが、化石は流されなければまだあるかも知れない。もし将来、誰かがここで化石を見つけたら、ここが産地だと思うだろう。

というわけで、北川の川底には僕の大事な宝ものが今も眠っているはずなのである。
by minority-m | 2008-03-13 20:34 | 身辺雑記