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至為は為すなく、至言は言を去り、至射は射ることなし
2009年 03月 29日
中島敦の短編集を読んだのはいつごろのことだったのだろう。中島敦の作品で確か弓矢の名人について書いたものがあったことを思い出し、本棚を漁ってみた。
数度の引越しで散逸した本も多く、もうないだろうと思っていたが、すぐに文庫本が見つかった。「昭和五十五年九月二十日 改版二十版発行」とある。高校時代に読んだと思っていたが、おそらく国語の授業で「山月記」かなにかを読んだ記憶と混ざったのだろう。 弓矢の話は「名人伝」であった。紀晶という若者が弓矢の道を極めようと修行し、とうとう無類の境地に至るという話である。 修行中自信満々で飛び交う鳥を射抜く紀晶に仙人のような老師が言う。「それはまだ射之射で不射之射ではない。」と言いながら、老師は弓矢を持つことなく動作だけで鳥を射落とした。 長年の修行で紀晶もやがてその境地に達する。そして人からなぜ弓矢を持たないのかを問われこう答える。 「至為は為すなく、至言は言を去り、至射は射ることなし。」と。 何だか悟り切っちゃうと人生のおもしろみが無くなりそうな感じもするが・・・。 弓道をやっている娘に勧め、感想を聞くと、「紀晶が修行中に虱をずっと見つめ続ける修行をするうちに虱が馬のように大きく見えるようになったという部分がおもしろい、同じ大きさの的がその時によって変わるから。」と言った。ナルホド、その感覚はよく理解できるなあ。
by minority-m
| 2009-03-29 21:54
| 身辺雑記
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